「SPINGLE MOVEを履くと、気持ちが軽くなる。」ある店舗にいる社員の一人が、ある日そんな言葉をかけられた。「はじめは、試しに試着しただけだった。でも、履いた瞬間にわかった。今まで感じたことのない感覚が足全体を包み込んだんです。」実はこういった声は店では非常に多い。お客様と最も長い時間を過ごす店舗からの声の数々。自分たちがやっていることは、ただの靴づくりじゃないということに、気付くきっかけとなった。
Spingle
Art direction / Copy writing / Creative direction / Editing / Graphic designSPINGLE MOVE Rebranding Project
そこから見えてきたのは、自分たちのこだわりとお客様の抱く感情の乖離だった。SPINGLE MOVEは、職人が手掛ける日本製ハンドメイドスニーカー。足を柔らかく包み込むような履き心地が特徴で、10年以上もの間この靴を履き続けているという方も少なくない。しかし、ブランド設立20年の節目を前にふと立ち止まってみると、会社が大きくなるにつれ、皆が同じ意識を持って進むことがだんだん難しくなってきていた。同時に、なぜ多くの人が自社の靴を好きといってくれるのかも、理由が分かっていなかった。我々が何者なのかということさえも。SPINGLE MOVEのこれまでの20年を見つめ、良いことも、足りないところも、嘘のないありのままの現在地を確かめ、これからの20年を見出すきっかけの一冊となるブランドブックを作成した。HARKENではブランドブック全体のディレクション、編集、デザイン、コピーライティングを一貫して行なった。
老舗ゴム加工メーカー、60年目の挑戦
その軌跡は、ゴム加工の技術に遡る。モノづくりが盛んな備後地方、広島県府中市。この街にゴム加工メーカーである株式会社ニチマンが創業したのは遡ること90年前、1933年のことだった。ニチマンではゴムタイルを主力に、ゴム長靴やゴム底布靴、学校ぐつなど、当時から足元にまつわる様々な商品を展開してきた。当時、海外ブランドスニーカー、低価格のカジュアルスニーカーが次々と台頭。そんな折、当時の社長の「二チマンではできないことを新しくはじめたい」という一言をきっかけに5〜6人程度のメンバーでスタートしたのが株式会社スピングルカンパニー。5年の歳月をかけて商品開発を重ね、2002年にブランドが誕生した。
履くと、気持ちが軽くなる。
技術を誇る私たちと、体験を語るお客様。 そこにはどうやら乖離があった。
今までその「品質」を高く評価されてきたSPINGLE MOVE。特殊手法であるバルカナイズこそが自分たちの良さだと疑うことはなかった。けれど、お客様にその魅力を聞くと、SPINGLE MOVEの良さは「履き心地の良さ」だと皆が口を揃える。バルカナイズであることは、履いてくれている方々にはあまり関係のない話だったのだ。自分たちのみている景色は少し、狭かったのかもしれない。
Creative
- Creative director
- Rie Kimoto
- Art director
- Hiroto Oda
- Designer
- Hiroto Oda
- Photographer
- Nanato Yamada
- Illustrator
- Yuki Maeda
- Director
- Kozo Kawamura
- Director
- Ken Taguma
- Executive director
- Makoto Tanijiri
- Printing
- 藤原印刷株式会社
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