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笑える革命
「偉いよ。だから黙れよ」。 岡康道氏の軌跡をたどる展示で流れた30年も前のフジテレビのCMの一言に、妙な新鮮味を覚えた。正しい人が多い。怒っている人が多い。伝えたい鋭い正論が蔓延る世の中の声量は大きく、首都高の下に寝泊まりしているような居心地の悪さがあった。これが社会問題となるとより顕著で、とりあえず言っておきたい免罪符であり、触ったらアウトの腫れ物になっている。 私が小国さんと出会ったのはコロナ禍で、足りないマスクや福祉の問題へ言及する試みは、そんな社会問題のど真ん中だった。けれど、ギャグみたいな名前やチームのワクワク楽しげな空気はいい意味で学園祭でもやっているような軽やかさがあった。途中で入った私もついつい楽しくなっちゃって、まんまと徹夜でデザインを作った。今思えば私自身も、太陽の光に照らされてコートを脱いだ一人だったんだと思う。 そんな小国さんの本を作れることになり、小躍りしながら原稿を読む。小国さんが隣でムフムフ微笑みながら立ち話しているような本で、簡単だしワクワクした。あとちょっと反省もした。家に置いて、たまに開きたい本だった。 どんな大切なことも、伝わらなければ存在しない。これは、伝わるための、脳を耕す辞書であり、誰しもに開かれた心地よく優しい太陽。明るく楽しい。お勉強じゃないし、強制もしない。明確な答えは必要ない。 正しく声の大きな時代にこの本が、必要な人の元にちゃんとお邪魔できるように。それからも、家の片隅でお守りになり続けられるように。そんなことを切に願いながら本のあり方を考えた。
そんな太陽のような小国氏が生み出す、重い社会問題も楽しくポジティブに変換するその太陽のような企画群を、誰もが見たことがあり、一目で理解ができる、潔いニコちゃんマークに投影し、アイコニックにデザインした。
最終決定したデザインは右口端に一本の細い線を加えたもの。じっくり見ないと気づけない、ニヤリと社会に溶け込むたくらみ。
Daichi